はじめに
AIが当たり前の状態になってしばらく経って、AI活用におけるスキル差はありつつも、より良いプロダクトづくりのためには従来通り技術の勉強も重要だと感じ始めています。
AIをそのまま利用することでは気付けない指摘や落とし穴をどう回避するか、より良いシステムを作るためにはAIの出す平均点では物足りない、そういう場面が目立つようになってきました。
現状のAIに関する認識と個人的なインプットに関する取り組みを紹介します。
AI時代によりよいものを作っていくために
登壇や各所で最近私が主張することとして、「AIは量をスケーリングするが、質はスケーリングできない」というものがあります。AIは増幅器、という主張と近しいものです。
つまり、その人ができる作業の量を増やすことはできるが、その人が時間をかけてもできない作業を代わりにやるのは一定のレベルを超えると難しくなる、というものです。
一方で私たちエンジニアの価値は、より質の良いプロダクトをユーザーに届けるために、ユーザーの価値に寄り添った質の良い開発を行なっていく必要があります。
そのために必要なのは、AIによって量をスケーリングする前提で、個人としては質を高めていくことです。 大きく二つのアプローチがあります。
依頼する内容の質を上げる
- 従来通りのいわゆる技術のお勉強がより重要に
- DB、インフラ、ソフトウェアアーキテクチャ、言語知識etc
- 開発手法は大きく変わりつつあるので優先度は下げている
- 個人で取り組む内容として、技術書読書の補助ツール作成、情報収集の自動化
- 後述する読書中の質問、および読書後のまとめを行うツール
- パッケージの脆弱性、サービスのアップデート情報など特定の分野に絞って情報収集をするエージェントを定期実行
- エンジニアとしてのスキルアップがそのままAIによって増幅される
- いわゆるハーネスの質にも影響する
- ex. レビュー観点をたくさん書いてエージェントに渡すよりも守るべきルールを全てカスタムリンタとして実装する
エージェントの動作の質を上げる
- エージェントの設計手法やデザインパターン
- 検索手法
- モデル自体の理解
- より良いモデルの選定
関連する書籍もオライリーなどからどんどん出ています 書籍の執筆 -> 書籍化 -> 日本語訳 と考えると古めの情報になっているはずですが、十分役立つ内容が多いです
- 実践 AIエージェント開発 - O’Reilly Japan
- 生成AI時代の価値のつくりかた - O’Reilly Japan
- LLMのプロンプトエンジニアリング - O’Reilly Japan
- 実践 LLMアプリケーション開発 - O’Reilly Japan
- 生成AI時代のソフトウェア開発 - O’Reilly Japan
- 生成AIデザインパターン - O’Reilly Japan
ジュニアの教育
AI前提となり、従来の教育プログラムの変更を急ぐ必要があると考えています
従来ジュニアに任せていた作業の多くはAIの方がより速く、質が良いので任せづらい構造になってきてます。
OJTの終わりが近いと思っています。
教育と実務を分離し、より体系的な知識の獲得や深い理解を促す必要がありそうだと考えています。
ちなみに最近考えていることとして、ジュニア、ミドル、シニアという区分けは命名が悪いよなあと感じています。 実際には経験年数だけで次のステップに進めるわけではなく、新入社員から半年でミドルやシニアレベルになる人や反対に万年ジュニアの人も存在し、これらは年数で区分けされるものではないからです。AI時代にはさらにシニアの需要が高まり、ジュニア、ミドルクラスの採用は絞られつつあるので、現状シニアにまだ到達できていないなという場合はより急いでシニアになれるようにインプットを増やしていく必要があります。
AIでどうやってインプットを加速させるか
読書ツール
オライリーなど一部の電子書籍はPDFやepub形式でのダウンロードが可能です。 これらのビュワーをAIで作成し、かつエージェント開発の要領でページ内の選択した箇所に関する質問を簡単に投げられるようにしたツールを作成しました。 また、質問内容やブックマークから、書籍を読み終わった後に詰まったところを要約したりといったことが可能です。
スクリーンショット

これまではChatGPTを開きながら読んだりしてましたが、より簡単に読めるようになりました。
なお、権利の関係でPDFファイルをあまりサーバー上に置きたくなかったため、Cloudflare Tunnelなどを利用して、自宅にあるMac mini上で動作させているツールにアクセスする構成がベストかなと最近模索中です。
この構成であればChatGPTサブスクリプションなどを利用してその利用枠でCodex SDKなどを使って固定額でいろんなツールを作成していくことができるようになります。
Hermes Agent
社内でも利用しているHermes Agentですが、個人的にもDiscordなどから呼び出せるようにしていて、ニュース関連や必要な調査は任せるようにしたり、定期的に収集させるようにしています。
CodexやClaudeを利用してももちろん可能ですが、Discordから呼べるようにしておくと出先で思いついたらすぐワークフローが組めたり、会社用とアカウントを切り替える手間がなかったりする点で便利だなと感じてます。
まとめ
結局のところ、AI時代になっても思考量が重要で、より質の高いものを作れるようになったところに生成AIで量のレバレッジをかけていくのが基本戦略となります。
AIが台頭してきて、ある程度試して自分のスキルをトークンを使って24時間動かし続けるなどした結果、一周回ってインプット量を増やして愚直にスキルアップしていくことの重要性に気づいた、というのが現在の私の立ち位置です。もう30歳も見えてきているのでツールを作るなど加速できる部分はしつつ、より成長をしていく必要があります。
